『海でぼ~っとしたいなァ』
という氣持ちになったので久しぶりに海まで車を走らせてきた。
が、
到着するや否や海へと続く駐車場に【進入禁止】のロープ。
え?ん??
今は海へ行っちゃダメってこと?
この時期だから?うーん??
と思いつつも、とりあえず近くにあった別の駐車場へINすることに。
『せっかく来たのになァ…。
海はすぐ目の前なのに近くで見られないとは…どうしたもんかねェ…』
諦めきれずにエンジンはかけたまま、運転席でしばし考えているフリをしていたら、
ロープの先から男性が1人、トイレから出てくるやロープを跨いでこちら側にきた。
ロープの端をよくよく見るとトイレ利用OKの看板が。
タイミングよく尿意をもよおしたので、
とりあえずエンジンを止めてロープを跨ぎ、まずはトイレへ行ってみることに。
残念ながら洋式トイレは詰まっていて使用できなかった…。
(隣にあった無傷の男性用縦長トイレが使えたら…!と一瞬悔やんだ。)
が、1歩外へ出たおかげで、
『とりあえず海まで行ってみよう。ダメだったら戻ろう。』
という開き直りの氣分になったので海まで進んでみることにした。
さっきの男性以外、誰ともすれ違わない。
徐々に波の音は近づくが、
ロープを越えただけで何だか悪いことをしている氣にもなる。
海が見えた途端、
そんな氣もただの杞憂に終わった。
広い広い砂浜が続く海には人が疎らだが普通にいて、
やはりロープは車の進入だけを阻み、人を阻んではいなかった。
風は少し強く冷たいが、太陽の光がうまくバランスをとっていて清々しい。
『腰掛けてぼ~っとできるいい場所ないかなァ』
と周りを見渡したら、
丁度いいにも程がある丸太を発見。
砂を払い、ゆっくりと腰をかけ、30分ほど砂浜に居た。
うっかりすると全ての感覚を頭が言葉にしそうになるのを堪えて、
ただただ潮風の香りがのった空気でたくさん深呼吸をし、
拾った貝の手触りを楽しんで、
目を瞑り波の音と風の音を聴いた。
鳶と鴎が頭上近くを滑るように飛んでいる。
『今ある風に、ただのればいい。今ある波に、ただのればいい。』
何度もきたことがある海の傍で泣いたことなんかなかったけど、
今日は周りに誰もいなかったのでポロポロ泣いた。
誰も見ていないのにね、
目に砂が入ったようなフリをしながら涙をそっと拭く自分も可愛いじゃないか。
自然のリズムのなかでしか生きられないのに、
自然のリズムを全て受け入れて生きることが怖いのは、
きっと人間だけなんじゃないかな。
『全てはこの瞬間、繋がっている。』
『楽』(気楽、楽しい)
そんな言葉がわいてきた時は、もうそろそろ満足だった。
いつもは通らない知らない帰り道を車で走り、
近くの駅でしっかりとトイレも済ませて帰った。
また思い立ったら自分を連れて行ってあげよう。
海、最高~。