『ここで寝たい…なぁ?』
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穏やかな午後。
リビングの座椅子で寛いでいたら、
窓越しの日向ぼっこを終えた愛猫が前脚を1本、座椅子にそっと添え、
巧みな上目遣いでこちらを見る。
「ハイハイ。ここで寝たいのね。笑 どーぞ。」
と、わたしが腰を上げて座椅子から退席したと同時に、
『よしよし。空いた。空いた。』
とばかりに躊躇なく満足そうに座椅子にあがる愛猫。
そしてその場でくるくると回り、
ゲットした寝床を存分に堪能できる体勢を決め、軽く毛繕いした後ストンと寝始めた。
座椅子の横に座る羽目になったのが、それをむしろ嬉しいと思うのは、
前脚の動きと目の動きだけで愛猫と会話ができた!というわたしの傲り。笑
以心伝心よりはかなり物理的だが、それでもコミュニケーションは嬉しいものだ。
そんなドラマがあった座椅子の横でスマホをいじっていると、
リビングの大きな窓の外をヒュンヒュンと高速で飛び回る物体が出現した。
燕だ。
それはかなりの数で20羽以上はいる感じ。
『よくぶつからないなァ』
と思うほど、かなりのスピード感をもって色々なものをスレスレで回避している。
燕らの動きや大きさを眺めていると、
どうやら親燕と一緒に子ども燕らが飛ぶ練習をしているようだった。
立派な尾羽をピンと伸ばして、
まるで空気抵抗などないように滑らかでキレよく飛ぶ親鳥は、羽ばたく回数も少ない。
一方、子燕は飛ぶスピードこそ速いのだが、
生け垣や木などの障害物をギリギリで回避した反動で空高く舞い、羽ばたきも多い。
たまにニアミスも発生しているようで、驚いたような鳴き声が空からきこえる。
命がけで飛び方をマスターしようと果敢に乱舞する彼らを見ていたら、
「がんばれっ!がんばれっ!」
と自然に声を出して窓越しで応援していた。
そして、
そんな無我夢中な子燕たちの姿が自分と重なって、何だか泣けてきた。
自分に何ができるかはわからないけど、
自分の命を表現するために自分の可能性を信じる姿は、命に共通している。
涙目でご近所さんと目が合う前に窓から引っ込んで涙を拭きながら思ったよ。
あれだけ華麗な飛び方をしている親鳥だって、
巣立った時は同じく無我夢中で乱舞していたんだろうなァってね。
心の声を信じて飛び込んでみる勇気。
その勇気の数は、
自分が自分を信じてあげられた数でもあって、
それが少しずつ増えていくのと同時に愛そのものの状態へ変わる。
自然のなかで調和して生きている彼らに、今回も言葉なき姿で学ばせてもらった。
座椅子と空と交互に見ながら、
何とも平和で小さな幸せに満ちた、そんな午後だった。