”ピンポーン♪ ”
モニターが壊れていて誰がきたかわからないうちの玄関チャイムが鳴る。
ただでさえ心のひきこもりには勇気の要る来客対応の難易度がグンとあがる。
だが、今回は出るんだ。
通話もできないインターホンの代わりに、
「はーい!」
と、わざとらしく声を出しドアの音を立てながらバタバタと玄関へ向かう。
わたしより若い歳であろう男性に名前を呼ばれ印鑑を求められる。
久しぶりのドキドキ。
もちろん、色気のあるドキドキなどではなくただの緊張である。
「ありがとうございました。気をつけて~。」
「ありがとうございますー。」
終始、ニコニコはしながら半年ぶりの来客対応を終えた。
『まァ、こんなもんでしょ。』
と部屋に荷物を置き、畳みかけの洗濯物を再び手に取り落ち着いてみせたが、
じわじわと嬉し涙がこみあげてきた。
『荷物を受け取ったぐらいでばっかみたい。』
という呆れ気味の頭の言葉からも、どこかねぎらいと安堵感が伝わる。
『ばっかみたいでもいい。できたよ~!』
見知らぬ匂いを嗅ぎにきた愛猫とうちの小さな観音様に荷物を披露した。
達成感が次の挑戦を後押しする。
自己効力感(セルフ・エフィカシー)という言葉を知ったのは昨日だが、
何気なくわたしが興味を示した父の講義資料にも同じ言葉があったのは驚き。
達成感も失敗もその裏には必ず勇気を出した挑戦がある。
挑戦が挑戦を呼ぶとも言える。
そのために何をしなければいけないかを明確にしていく。
難しく考えると面白くないので、
わたしはコレを『ただ感じる』とセットにして冒険している感を盛り立てている。
自分の思考の地盤を作り直すため、
『それを何のためにやっているのか?どう感じているのか?』
昔はできていたことでも、
まったく視点と感覚が違う日々を新鮮な気持ちで整理していく。
失敗してもそこで感じられたこと、体験できたことに喜びを見出したい。
そんなわたしでありたい。
だから、地味であっても1つ1つ自分のペースで挑戦を続けている。
昨夜は、両親と精米や買い物へ行った。
新米と古米の色の違い、精米された米粒の温度、店ごとの香り、予期せぬ回り道。
はじめてのおつかいさながら嬉々として助手席で冒険を楽しんだ。
そんな冒険のおかげか今日の挑戦もできた気がする。
自分で受け取れた新しいスキンケア用品たち。
今日のお風呂でも楽しく挑戦していこうと思う。