枝葉を広げた立派な樹があります。
地面に近い葉もあれば、空に近い葉もあります。
陽を浴びている葉もあれば、陰を纏った葉もあります。
明るく緑色の柔らかい葉もあれば、濃い緑色の硬くなった葉もあります。
今まさに芽吹いた葉もあれば、今まさに枝から落ちて土に横たわった葉もあります。
この樹には、全ての葉が必要でした。
生み出される全てそのもので "樹" という形を成しています。
葉脈の具合も生えた場所も違う葉の1枚1枚が "樹" の一部であり、そして "樹" そのものとして存在をしています。
違いの豊かさを、変化の安定を、ただ在ることを、 "樹" は知っています。
そんな樹の葉に、わたしは自分と全てを観るようです。