愛猫がリビングの座椅子で寝たいというので、
2階にある自分の部屋からパソコンをいそいそと運び、
リビングのテーブルにスタンバイ。
立ったついでに台所へ寄り、
今年はじめてのアイスコーヒーを作ってみた。
今日は暑い。
天気の欄にたしかそう書いてあった新聞をもう1度眺めてみればその通りで、
【最高気温は25度前後で夏日になる所も。日中は汗ばむ陽気。】
などと南国フルパワーの文字が躍る。
おかげでアイスコーヒー日和なわけだが、
久しぶりにへっこぼった四角が並ぶ製氷器を冷凍庫から取り出したおかげで、
毎年ふと思うことが今年も相も変わらずふと思い浮かんでしまった。
『自動で氷が作られる冷蔵庫しか知らない子どもたちは、
この白いスタンダードな製氷器すら見たことがないんだよなァ…。』
これである。
何ともしょうもない想いの馳せ方だが、
うちの冷蔵庫に年季が入れば入るほどこの想いは強くなる。
去年の夏はそんな想いが強くなりすぎたせいで、
ついには遊びにきていた姪っ子たちに製氷器を堂々と披露したほどだ。
「おばちゃんの家はね、これで氷を作るんだよ。」
「ええ!これで作るの!?」
今まで何度となく製氷器に水を入れすぎて溢れさせたことや、
冷蔵庫へ運ぶ際にバランスを崩して最近も冷蔵庫周辺を水浸しにしたなんて
雰囲気は微塵も感じさせないおばちゃん。
子どもたちを引き連れて製氷器のへっこぼった四角たちへ均等に水を注ぎ、
「この水が凍ると氷になるんだよ。」
などと言いながら手早く製氷器を冷蔵庫まで運んだら、
高い位置にある昔ながらの冷凍庫の製氷器スペースへと華麗にそれを滑り込ませる。
このタイミングで水をビシャーっと床に溢しても面白い体験のはずだが、
こういう時はなぜか失敗しないのがおばちゃんの残念なところだ。
今年は失敗してみようか。
いや、決意して試みるものではない。
なんていう、しょうもない想いと回想からはじまる夏の気配。
水を飲むようにさっぱりと冷たいブラックを流し込む。
すっかり汗をかいたコップを見て、
今年は新しい珪藻土のコースターでも引こうかと考える。
変わらないようでいて、
やっぱり全ては少しずつ変化をしているから、
ほんの少しでも変化に氣づいたらほくそ笑んで楽しんでみることをおすすめする。