『おっと、忘れてた。
開いてるとあの子たちも寒かろう。』
母が買ってきた植物たちのビニールハウス。
鉢が数個しか入らない小さなものだが今年の秋から導入された。
外灯をつけ、寒さで硬くなったサンダルを履いてハウスへ急行。
案の定、3分の1ほどチャックが開かれていたハウスを閉めた。
「あったかくしてお休み。」
と優しげに言ってる自分こそ薄着でバカ寒い。
家に急行する前に、暗くなった周りをなんとなく見渡す。
雲にかくれて星も見えない空、雪も降らないクリスマス。
別に頼んでいたプレゼントがくるわけでもないのに、
ほんの少しだけ特別な日のような気になるのは昔の記憶のせいだろうか。
最後のクリスマスプレゼントはサンタと会った時だった。
『明日の朝、枕元にわたしが選んだアレが来ませんように。』
ずっと続いてほしい夢のためにそう願ったけどダメだった。
でも、夢を見させてもらったからこそ30年経った今でも少し夢に浸れる。
自分で揺さぶり起こしてきたエネルギーに時間も善悪も関係ない。
自分にとって楽しかったベルも鳴り続ける。
自分にとって苦しかったベルも鳴り続ける。
ただ鳴ってるだけ。
その時にそう思った音が、ただ鳴ってるだけ。
本当は好きなように聞けるから、
ただもう聞いてるだけで十分だと思う。
でも聞き専だけじゃつまらない。
この瞬間だって、
この瞬間にしか出せない音を鳴らしてるんだ。
わたしもココで好きなように音を出しとくよ。
だから是非、あなたも好きなように音を出して楽しんで。
その音に勝手にありがとうを重ねておくから。